【コラム】教養としての人材開発(第4回)

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リーダーシップ1:

前回はタレントの構成要素や形成されるまでの工程などについて考えてみました。これまでのコラム内容について、読者の皆さんからのフィードバックを頂ければと考えています。

さて、今回と次回は、リーダーシップについて考えてみたいと思います。ここでは、議論を分かり易くするために、リーダーとリーダーシップを基本的に同義に捉えたいと思います。

 

リーダーシップと聞いて、読者の皆さんの頭に浮かぶ名前は?

歴史上の人物、政治家、スポーツの世界、思想家、実業家など異なる世界に時代を通して偉大なリーダーシップの存在があったと思います。

ここでは、本コラムのフォーカスの観点から、実業の世界を中心に、かつ私の経験してきたことを基に、皆さんへ議論を提供してみたいと思います。

 

リーダーシップ(の出現)は、その国、時代、歴史的位置、風土、社会的価値観によって異なり、個性化されるものではないでしょうか。

実業界で言えば、おそらく、多くの読者の皆様に共通した人物の名前が洋の東西を問わず、何人もあがるのではと思います。

 

リーダーシップの仕事:

CEO, 社長, ジェネラルマネージャー, 事業部長など、リーダーシップのポジションに就いている人達の仕事は何でしょうか?

ステークホールダー達の期待を裏切ることなく好業績を維持すること。また、部門単位で言えば、設定し約束した目標を達成することでしょうか。

簡単に分かり易く言えば、そういうことだと思います。

 

加えて、私は次のように考えるに至りました。

「 ビジネスリーダーは、意味を創造すること、簡単には見えないものを見通すこと、そして、観たものを見せてやること。

社員や利害関係者(ステークホールダーズ)を奮い立たせるような大きな機会をありありと描き、伝え、影響力を以って動かし、目標を達成する。

また、社員を含めた、多種多様の多くの人に頻繁に積極的に会い、戦略を描き、あらゆるコミュニケーションの機会にて伝え、事業計画を達成すること」。私はそれがビジネスリーダーの仕事であると考えています。

 

部門の経営も会社経営も、内的要因、外的要因があります。そして、それらは刻々と変化しています。それらをチャレンジと呼ぶことがあります。

外的要因としては、日本の人口減少、各層の価値観相違、地政学的変化、脱CO2社会へのシフト, ニューテクノロジー、DX化の加速、日常化したM&A、Withウイルス社会、ESG経営、新しい働き方、行政、政治・外交的課題、など数え切れません。

このような環境変化の中で、リーダーシップは会社や組織の存在意義、ミッションを創造し、財務的目標をプランし、そしてそれらを各ステークホールダーへ説明し、そのミッション・バリュー、プランを丁寧にコニュミケーションすることによって、共感と支援を得る。その結果、一つの大きな ”エンゲージメントの輪を形成” することができます。

また、個々の仕事、部門経営、会社経営、グループ会社の経営、どれを取っても一人でやれることは何もありません。リーダーシップの仕事は、“繋ぐ”ことであるとも言えます。

エンゲージメント形成繋ぐ 双方ともにコミュニケーションが重要な要素になります。

 

人事部の仕事との一貫性:

このようなリーダシップの本質的な仕事は、本コラム1回目でHRM Mission and Valueとしてお話したframeworkに強く繋がるものです。

(HRM Mission and Value参照下さい)

経営的3つの柱である、Company Mission, Business Goals, Cultureを高次元でバランスさせることがリーダー達の具体的仕事へ展開されることになります。そして、人事部、HRの仕事はその絵の中にある通りの内容で、戦略人事の意味がここに明らかに定義されます。

 

リーダーシップのコンピテンシー:

本コラム第3回目の中でMacro View & Deep Diveということについてお話しました。また、人材(タレント)について、私がこれまでに見てきた共通するコンピテンシーとして次の要素を共有させて頂きました。

-強力なビジネスオリエンテーション

-マーケット・インテリジェンス

-コミュニケーション能力の高さ

-マトリックス組織での業務遂行能力

-リベラル・アーツレベルの高さ

リーダーシップには、コミュニケーション能力が決定的に重要な要素であると思います。そのことについては、次回コラムで、さらに深掘りする予定です。

 

リーダーシップのコンピテンシー:

さて、リーダーシップに共通して観られる要素があるとすれば、それらはどのようなものでしょうか?

次の言葉があります。

Stand like Lincoln, Speak like Churchill

ご存知の通り、リンカーンは米国の第16代大統領、チャーチルは1940/50年代の英国首相です。

リンカーンのように威風堂々とした姿で立ち、チャーチルのように知性と情熱を持って語る。というような、あるリーダーシップの理想像を表現したものだと思います。

私は経験から、次のような特性があると思います。

1. 強く、明るく、変化する・させる人。

2.また、私が一緒に仕事をさせて頂いた方々は、共通してApproachableな人達でした。人を寄せ付けない、近寄りがたい雰囲気を感じさせない人達です。一線のラインで仕事をしているスタッフ、社員にも自ら声を掛ける。話題の引き出しも沢山持っている人達です。

3.したがって、このような方は表情を持っている、表情を作ることができるチャーミングな人達です。私は表情マネジメントと呼ぶことにしています。なぜなら、それもリーダーシップの仕事の一部だからです。

リーダーシップに求められるコンピテンシーについて、戦略性、創造性、革新性、インテグリティー、などが良く語られます。私はこれらに加えて、

上述した3点が多くの場合に観察されたことでした。

そして、それらはすべて個人として生まれ持ったものではなく、ビジネスリーダーに必要なこととして、トレーニングにより身に付けられるものなのです。Indvidual Development Plan, 能力開発の対象範囲のものです。TrainableでありAcquired skillsとして獲得することができるのです。

外資系では、Management Development Programなどに組み込まれる場合が多いものです。

 

今回はリーダーシップIとしてここまでになります。いかがでしょうか、読者の皆様の会社、団体、組織のトップ層の方々は、どのようなリーダーシップの特徴をお持ちでしょうか。

 

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